小中学校の理科の教科書、これだけは何とかしてほしい
急に思い出して、いてもたってもいられなくなったので書く。
今でこそ「ハードウェアエンジニャー」とか名乗ってオシゴトをしているが、大学では「音楽教育学」という何だかよく分からない学問を専門でやってるような人間だったので、電気の知識なんて中学生レベルだった。
中学生レベルの知識しかないのだが、いざオシゴトとなればやらないわけにもいかず、
せめて高校で物理Ⅱをとっておくべきだったと後悔したのは確か28歳の時だった。
そんなわけで独学で電気回路を勉強し始めたのだったがまあ早速つまづいた。
今振り返ってそのつまづきの原因を考えると、ある一つの電気に対するイメージが非常に邪魔になっていたことに気付いた。
それが小学校の教科書ではおなじみのこの図である。
豆電球と電池をつなぐと豆電球が光る。
あまりに何の変哲もない、もっとも単純な電気回路の図であるが、実用的な電気回路を考える場合、これほど邪魔な概念はないのだと今では思う。
さて何がいけないのか。
結論から言うと、実用的なことを考えるならこうするべきなのである。
ただ90°回転させただけである。しかしこれがものすごく重要なのだ。
何故か。
それは実用的な電気回路図は世界的に見ても、全てこの上図のように、「電圧の高いところを上にして書く」のがほぼ暗黙のルールとなっているから。
そして、全ての電圧の基準となるのが「グランド(Ground, GND)」なのである。
私は、この「グランド」の概念を理解するまでやたら苦労した。
その原因が最初の「電池を横向きに置いた図」のせいだと思っている。
私のイメージでは、電池というのが「1.5Vのパワー」を持っていて、豆電球をつなぐと、プラスの電極からマイナスの電極に向かって電気(電流)が流れる。
図で書くとこんな感じ。こういうものだと思っていた。
(これ自体はそれほど間違っているわけではない。)
だけど、実際にイメージするべきはこっちだった。
電池に1.5Vのパワーがあるというよりは、電池のプラス極とマイナス極の間に
1.5Vの電圧の差が生じると考えるべきなのである。
1.5Vというのは、マイナス極を0V(基準電位)と考えたときに、プラス極が1.5Vの電圧(電位差)になるということである。
この時のマイナス極が「グランド(基準電位)」となるということだ。
上のような回路は、高校の物理や電気関係の参考書などでは
のように書かれる方が多いし、電圧の高い方が上になるように書くのは、万国共通で分かりやすいだろうということは明らかなのである。(要出展)
ついでにいうと、オシゴトでよく見かける複雑な回路図は、同じ電源を当然のようにいろんなところで使いまわすので、同じ電位にはラベルをつけてこんなふうに描く。おそらくこの書き方はほぼ世界共通だと思われる。(要出展)
最近の電気回路の参考書などを見ると、電気を「水」に例えたものが多く、ポンプ(電池)で吸い上げられた水が高いところから下に落ちるときに仕事をする、というイメージで説明されることが多いし、それは実際分かりやすいと思う。
というわけで、小中学校レベルの電気の知識しかない人間が実用的な電子回路を書けるようになるまでになる過程で本当に邪魔だったイメージ図についてまとめてみた。
電気電子回路をちゃんと勉強してきた方には「何を今さら」という内容だと思うが、私にとってこのあたりの考え方を整理して再構築する過程は電気回路を勉強する上で非常に重要だったのだ。
この「電池を横向きに置いた図」は百害あって一利なし、
と個人的に思っているので、さっさと無くしていけばいいと思う。
強いて言えば「回路記号を横向きで習うから」という理由があるのかもしれないが、
それ以外の横向きにする理由は全く思いつかなかった。
「電池を横向きにした方が○○だから良い」などのご意見をお持ちの方がいたら
ぜひ聞かせていただきたいものである。