人目よくらむ

雑記です

公園の鉄棒でガチの筋トレをする集団

タイトルは例えの話である。
これは私の参加している無料塾(学習支援)ボランティア団体の話だ。この塾では中学生を対象に、民間の大手学習塾にも負けない(と自負している)高校受験対策指導を行っている。それはさながら、公園の鉄棒でガチの筋トレをしているようなものではないか、という結論に至った。

ボランティアには様々な種類があり、「無料塾」の形も様々ある。ただ、他の無料塾を見学などしてみると、驚くほど「受験指導」とはほど遠いと言えるような活動が多いことに気付く。決まった教材もなく、学習スケジュールもなく、到達目標もなく、生徒はただ教科書を持って来てなんとなく分からなかったところを聞く。中には専門外のことを聞かれて一緒に考え込むボランティアスタッフを目にすることもある。それでも、その生徒にとっては勉強をしようとすること自体が評価に値する行為という場合もあり、「学習支援」の在り方は実に様々であるなと驚く。

他にも、話を聞いたり相談に乗ったりと子供の「居場所づくり」に重きを置く団体や、給食を出す「こども食堂」のような団体など、団体の在り方も様々である。そんな中で、ボランティアでガチの受験指導をしようとしている我々は、公園のような誰でも利用できる開かれた場で、黙々と筋トレのメニューをこなしている異色の集団なのではないか、という結論に至ったのである。

「子供の貧困」はここ数年問題とされてきたが、ようやく世間の耳目を集め始めたように思える。その中で無料塾やこども食堂の絶対数も増えてきたように感じる。絶対数が増えてきたことで、上に挙げたようなそれぞれの特色も見え始めて来ており、利用する側も支援団体を適切に選択する必要が生じてきているように感じる。

行政はようやく重い腰を上げて、これらの既存団体を金銭的に支援したり、既存団体からスタッフを吸い上げたりすることで、「子供の貧困対策」をやっている素振りを見せつつある。我々の役割は、公園の鉄棒で筋トレをするためのノウハウをひたすら蓄積し、評価し、改善し、共有していくことである。きっといつか行政がそれを目ざとく見つけて、しれっと盗んでくれることを信じて。