人目よくらむ

雑記です

「万引き家族」を見て急に思い出したこと(ネタばれ含む)

普段ほとんど映画なんて見ないのだけど、毎朝毎晩TBSラジオを聴いているせいでこれは見に行かないわけにはいかないなという気になったので見に行ってきた。

映画は本当に素晴らしく、何がどうとかどこが良かったとかあのシーンはどうだとかいろいろ話すこともありそうなのだが、記憶の片隅にあったあるラジオドラマを思い出したのでそれについて書いておきたい。

※そのラジオドラマについて、さっき映画を見終わってから必死でネットの海を検索したのだが、詳細な情報には全くたどり着けなかった。何か覚えている方がいたら教えて欲しい。

そのラジオドラマの記憶はおそらく20年以上前で、恐らくやっていたのはTBSラジオの「ラジオ図書館」だと思われる。(青春アドベンチャーかもしれない)
あらすじはかなりうろ覚えなのだが、主人公は初老という感じの老女で、閉店後のデパートのエレベーターで寝泊まりをしているという設定だった気がする。普段はエレベーターに独りなのだけど、ある日見知らぬ男性が迷い込んで来て、家族のように暮らし始める。そんな感じで一人また一人(確かデパートの警備員も途中で入った)増えていって、最終的にエレベーターの中で鍋パーティとかが始まるなど、エレベーターの中で「団欒」が形成されていくのだけど、ある日とうとうデパートの非常ベルが鳴って、集まった人たちもそれきり散り散りになってしまう。
「”私の家族”…。なんて良い響きなのでしょう。」
という老女の最後のセリフが印象的でそれがずっと頭にこびりついている。


映画「万引き家族」はまさにその感じだった。血縁はないけど血縁以上の関係で繋がっている家族のような仲間、でもそれは非常ベルのようなきっかけで突然、いとも簡単に崩壊する。彼らをつないでいたのはお金だったのか、絆だったのか、共依存だったのか、それら全てでもあり、どれでもないような曖昧さを残しつつ、何も解決されないまま映画は終わる。我々が生きている社会はそれほどに不確定で曖昧であるが、見せかけの正しさで回っているということを突きつけられた思いだった。

「私の家族…。なんて良い響きなのでしょう。」