人目よくらむ

雑記です

「いや、いい買い物をした。ありがとう。また来るよ」って言いたい

買い物と聞いて真っ先に思い出したのは数年前の自分の以下のツイートだった。


最近はなんでもネットで買えてしまうので、お店に何かを買いに行くという機会が非常に少なくなった。日々の食料などでさえ毎日バラエティに富んだ新鮮な食材がヨシケイから届く。ちょっとした買い物はほぼコンビニ頼りだ。そこそこ大きな買い物はほぼネット通販で買ってしまう。ネットで買うと、どんなにいいものを買っても「いい買い物をした」と感じられることはあまりない。「まあ、この値段だし、こんなもんだろう」と意味もなく冷静な批評家になる。おそらくこの習慣が今後急変することはないだろうが、たまにはお店に行って「いい買い物」をしてみたい。そこで今回は意図的に「いい買い物」をするにはどうしたら良いかを考え、それを実行してみることにした。以下、記録。


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「いい買い物」とは

「いい買い物」とは何だろうかと改めて考えて、次のような条件で定義することにした。

  • 買いたいものの専門店に行く
  • 好みや予算などをプロフェッショナルな店員さんに伝えて、条件にあったものかそれ以上のものを紹介してもらう
  • 実際に使ってみて、満足する

考えてみて思ったが、良い買い物だったかどうかは観賞用の工芸品とかでもないかぎり、実際に使ってみて初めて分かることではないかと思うので、件の武器屋の客は何をもって「いい買い物をした」と評価しているのか非常に気になるところである。受け取ったそばから試し斬りでもしているのだろうか。もしかしたら、あの世界の客は目が非常に肥えていて、価格に対して品質が十分であることを即座に判断できるということだろうか。だとしたらそれが理想的な関係かも知れない。

さて何を買うか

今欲しいものをいくつか考えてみた。クロノグラフ機能の付いた腕時計、ローラーブレード、通勤用のリュックサック…。腕時計は結構前からあちこち探しているのでまたの機会にということで、今回はローラーブレードを買うことに決めた。元々は会社の同僚から子供用のローラーブレードを頂いたのがきっかけで、これは一緒に始めてみるしかないだろう、という流れである。つまり経験は皆無、全くの初心者である。知識ゼロから専門家にあれこれ聞いた上で買い物をする、というのが今回の主旨に沿っているという理由もあった。

下調べ

とは言えまずどこに専門店があるのかなど、基本的なことは調べなくてはならない。まあその基本的な情報収集から冒険は始まっていると考えられなくもないのだが、さすがにそこまでする理由もないのでここは便利なインターネッツに頼ることにする。以下分かったこと。

  • 価格は5000円くらいのものから数万円のものまで様々

ということで取りあえず予算を10000円前後と決めて、娘も連れて神田に行くことにした。秋葉原にはしょっちゅう行くのだが、小川町方面を歩くのは初めてだった。歩いてみるとスケートに限らず、スポーツ専門店が集中してることに気付いた。卸し問屋でもある(あった?)のだろうか。

1店目

ここでは結局買わなかったので店名を書くのは控える。店内はやや狭く、いかにもといった雰囲気のインラインスケート専門店で、割と上級者向けのお店のようだった。おそらくその筋の人では知らない人は居ないのだろう。まず一通り価格を見て思ったのは、「高い」。一番安いものでも一万円台後半くらいからだった。
さすがにネットの最安値5000円は無いにしても10000円出せばそこそこのものが買えると踏んでいたので結構ショックだった。店員さんと二言三言言葉を交わしたが話もあまり盛り上がらず。敷居の高さを感じてしまったので早々に退散することにした。

2店目

元々の主旨を考えると、大手のチェーン店ではなく1店目のようなこじんまりとした専門店で買いたかったのだが、インラインスケートだけの専門店となるとなかなか店舗はないようだ。仕方なく次に入ったのがヴィクトリア(本店)だったのだが、結論から言うとここが大当たりだった。

インラインスケートの売り場は一階。入ってすぐのところにいた若いお兄さんの店員さんが案内してくれたのだが、とにかくこのお兄さんの対応が素晴らしかった。

ネットで売られている格安品と、お店で売っているものの違いを丁寧に分かりやすく教えてくれた

一番大きいのはタイヤがスムーズに回るかどうかということだそうな。ちゃんとしたものは、多少地面が悪くてもよく転がるので「楽しい」とのこと。楽しいのは重要だ。

防具のつけ方も丁寧に教えてくれた

そういえば、頂いた防具を娘につけようとして、つけ方が分からなかかったものがあったのだが、そんなことをこちらから言うまでもなく、当然のようにつけ方を教えてくれた。初心者がつまづきやすいポイントを押さえているということだろう。嬉しい。

子供が練習のモチベーションを持続させるためのアドバイスをしてくれた

最初はうまく滑れないとすぐ飽きてしまうので、いやな気持ちにならないよう適度に練習して、適度に他の遊びをすることが大事といったことを教えてくれた。確かにそうだ。

娘の名前を一瞬で覚えて気さくに話しかけていた。

娘の名前、聞かれたわけでも教えたわけでもいないのに、私が呼んでいたのを聞いていたのだろう。こういう「見知らぬ人とのちょうどいい距離感での接し方」が上手な人は本当に尊敬する。(私は勝手に「二人称を自在に操る人」と定義してる) こういうことは自分には到底できない。さらには「シールあげるね」と言って販促品のステッカーシールを娘に渡していた。本当に抜かりない。

そんなこんなで完全にこのお兄さんに骨抜きにされ、もはや買わない選択肢はなかった。もともと「いい買い物」をするのが目的だったので、ここまででもはや目的は半分以上達成されたようなものだった。ここまでくれば何も買わずに帰ってもウィンドウショッピング的な意味では「いや、いい買い物をした」と言っていいと思う。最終的に13,796円のシューズと3,046円の防具を買って全部で16,842円+税。おまけで持ち運び用の専用ケースがついた。こういうおまけも「いい買い物」には大事な要素だ。

買ったものを専用ケースに入れてもらって渡されたところで「いや、いい買い物をした。ありがとう。また来るよ。」と、聞こえるかどうか分からないくらいの音量で言い残して店を出た。実際また来ると思う。(500円分ほどのポイントもついたので)
帰り道は重たいインラインスケートシューズを肩から下げ、眠くなってしまった、それより重たい娘を抱きかかえてへとへとになりながらお茶の水まで歩いた。

まとめ

お金を出してモノを買って、お金を出している方が「ありがとう」といえるというのはなかなかないことだ。しかし本来はそれが消費行動のあるべき姿なのではないかと思う。最近は特にお金を出して目に見えない対価を受け取るという機会も増えているので、いろいろなモノの価値を正確に判断できなくなっている気がする。いいものや悪いものを目で見て、触れて、冷静に価値を判断した上で「いい買い物」をした気になることこそが、豊かになるということなのではないかなと思った。いい買い物で買ったものは、ことさらに大事に使っていきたい所存である。

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