ハイバイ「ワレワレのモロモロ」感想(ネタバレあり)
初日(20161210)見てきました。
今回はオムニバス形式ということだったので、それほど重くてツラいものではないだろうと高をくくっていたのですが、そんなはずがなかった。ハイバイらしさとも言うべきなどぎつい人間ドラマが描かれていました。それもそのはずで、出演者のツラい体験談を再現ドラマにしているので、リアルに演じられるほどツラくなるのは当然とも言えます。
以下、備忘用のあらすじと感想
(細部に記憶違いの可能性あり)
ほほえみのタイ (上田遥)
能天気な女友達とタイ旅行に行って大変だった話。最後まで見た後になると、これ(と良々)はそれほどツラい話ではなかったのですが。まあ海外旅行って、ちょっとしたトラブルでも「異国の地でどうして良いか分からず立ち尽くす」経験になったりするので、演じられた以上にツラみとか焦りはあっただろうなと思う。けどわりかしコミカルに描かれていて、後で思うと「ツラい話だったっけ?」と思い返す程度のエピソードでした。川面さんのキャラが相変わらず良い。
トンカチ (池田亮)
学校でいじめられ、家では中間管理職の母親に虐げられていたエピソード。父親のAVを見るシーンの、左右から喘ぎ声が聴こえてくるのが楽しい。あと、「ハイバイドア」的な小道具として登場したぶら下がり健康器具(?)の使い方が素晴らしかった。舞台上の表現の幅を気持ちよく広げてくるなあと思った。
良々(の役の平原テツさん)がカジュアルに手淫をしているところから始まる。深夜に酔っ払った父親(良々)が帰ってきて、良々(テツさん)を起こして説教を始める。一瞬、岩井さんのお父さんのような理不尽な説教が始まるのかとヒヤリとしたが、ゴキゲンで迷惑な酔っぱらいの戯言にとどまったのでホッとした。手淫をした後のお腹のあたりをしばしば気にする描写など、細かい演技も忘れない。後半は舞台を学校に移してコックリさん。ツラい話ではなかった。
いとこの結婚(平原テツ)
仲の良い従姉妹(川面さん)が、50代のバツイチおっさん(良々)との結婚を決めた。最初、良々が客席に近いところのスポットライトが当たらない辺りで積もる話を始めて軽く笑いを誘う。「おっさんが生命保険の受取人を前の奥さんから自分に変えてくれない」という話からだんだんおっさんの本性が現れていく。おっさんの闇が深すぎて怖い。
深夜漫画喫茶 (師岡広明)
池袋で一番安い漫画喫茶の深夜バイト。起こっていることも店員の態度も異様なことばかりなのに、何故か全てに説得力がある。深夜の漫画喫茶って本当に「こういうヤバい人がいそう」な空間であり、実際居るのだろうと思う。構成も秀逸。不条理を笑い飛ばすようなダンスもかっこいい。
山、ねずみ、カメ(岩井秀人)
某国に住んでいる親戚を訪ねていく話。団欒もピクニックも、全てが監視員の監視の元で行われる。もらったお土産は、手紙も含めて全て保安検査で没収されてしまう。見つからないように下着にくるんで持ち込んだお土産の瓶、その中身は。監視員がだんだん岩井さんの父親にみえてくるのはハイバイマジックとでも言うべきか。
「て」で起こった悲惨(永井若葉)
「虐げられてそうな顔」もヒドいが、もっと悲惨な展開が始まる。
岩井さんが菅原永二さんの役を務める地方公演の稽古にて。クジで配役を変えて流れを確認する稽古をしようと言い出し、始まる。岩井さんは「流れの確認だけ」と言いながらも、完璧な演技を求めて苛立ち始める。極度のストレスと喉への負担で永井さんが大変なことになる。 自分もあれと同じ症状を、声楽の授業中に目の当たりにしたことがあったのでその時の記憶が蘇った。本当に悲惨。
きよこさん(川面千晶)
キャバクラバイト時代の壮絶な先輩キャバ嬢のエピソード。しかも先輩キャバ嬢役は平原テツさんという…。キャバ嬢ドレスを雑に着たテツさんの衝撃的な見た目に出オチ感満載で始まるものの、最後には可愛らしくさえ見えてくるほど、きよこさんの人情味溢れる様が演じられている。
涙もろいのか、ハイバイ見たあとはだくだく泣いてることが多い自分ですが、今回のはそこまで深く感情を揺さぶられることもなく、清々しく見終えることができました。
とはいえ、それは一つ一つの話が短くまとめられているからなだけであって、それぞれを深く掘り下げられていたらやられていたであろうことは間違いない。それほどに、作者一人ひとりのツラさが直に伝わってくるような脚本と演出でした。
自分が一番好きだったのは深夜漫画喫茶かな。10年くらい前に自分も新宿の最安漫画喫茶に泊まることが割とあったので、あの感じはすごくよく分かる。 あのおかしな空間に居たら客も店員もどうかしてしまいそう、そういう鬼気迫る感じが見事に、コミカルにシニカルに描かれていたと思いました。
まだ見ていないハイバイ作品のDVDがあるので年末年始でちょっとずつ見ていきたいものです。
PSoC5でOLED制御してみる
今まではちょっとPICをかじったりAVRをいじったりしてみたけど、
そろそろ真面目に仕事でも趣味でもマイコンを使えるようになっておこうと思い、
PSoCに手を出すことにした。
USB経由の仮想COMポート経由で制御することが多くなりそうなので
調べてみたところ、PSoC3かPSoC5がよさそうな感じ。
ということで、それらのデバッガーとしても使えるらしい
CY8C5888LTI-LP097という開発キットを買ってみることにした。
秋月で1500円。安い。
そして「イマドキ液晶もなんだし、OLEDだしょ」と、
意味もなく128x64のI2CなOLED(SSD1306コントローラ)をAmazonで購入。
DIYMALL iic i2c OLEDモジュール ディスプレイ 0.96インチ ブルー&イエロー51マイクロコントローラ12864 for Arduino
- 出版社/メーカー: Flyfun
- メディア: おもちゃ&ホビー
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購入時は999円だったけど今は800円。
なんか類似品で500円くらいのもあるし、なんなんだこれは。安い。ありがたい。
接続していろいろやってみる。
「CyGlobalIntEnable」を入れ忘れて動かない、などのトラブルを乗り越えて、
とりあえずI2Cの通信はうまくいくようになった。
で、下記のGitHubにPSocでOLED(SSD1306)というそのまんまのサンプルを発見。
そのまんま動かしてみたところ、なんとなく動いてはいるものの、表示が変。
コントラストの設定やスクロールの設定はうまくいっているので、
画像バッファへの書き込みがうまくいっていない様子。
なかなか原因が分からなかったのだが、ようやく判明。
Cypressのフォーラムに同じ症例が報告されていた。
どうやらGitHubのサンプルはPSoC4用で、PSoC5の場合は
1回のトランザクションで256バイトまでしか送れないので、
1バイトずつ書き込む処理に変更しなければならないということらしい。
フォーラムのサンプルをそのまんま使ったところ、正常動作できた。
---20170928追記---
上のリンク先が消えていたので変更内容だけメモ。
display_write_buf関数を下記のように書き換えると動く。
static uint32 display_write_buf( uint8* buf, uint16_t size ){
uint32 status = TRANSFER_ERROR;
int i;
I2COLED_MasterSendStart(_i2caddr,I2COLED_WRITE_XFER_MODE);
for ( i = 0; i < size; i++){
status = I2COLED_MasterWriteByte(buf[i]);
}
I2COLED_MasterSendStop();
return status;
}
I2COLED_I2CMasterWriteBuf関数でバッファを連続して書き込む代わりに、
I2COLED_MasterWriteByte関数で1バイトずつ書き込むように修正する。
---追記ココマデ---
ようやくこれからやりたい処理の実装に入れそう。
今日はここまで。
「いや、いい買い物をした。ありがとう。また来るよ」って言いたい
買い物と聞いて真っ先に思い出したのは数年前の自分の以下のツイートだった。
ドラクエの武器屋じゃないけど、「いや、いい買い物をした。ありがとう。またくるよ」って言いたくなるような買い物を最近していないよなー。
— オガワン (@Ogawan) 2012年6月17日
最近はなんでもネットで買えてしまうので、お店に何かを買いに行くという機会が非常に少なくなった。日々の食料などでさえ毎日バラエティに富んだ新鮮な食材がヨシケイから届く。ちょっとした買い物はほぼコンビニ頼りだ。そこそこ大きな買い物はほぼネット通販で買ってしまう。ネットで買うと、どんなにいいものを買っても「いい買い物をした」と感じられることはあまりない。「まあ、この値段だし、こんなもんだろう」と意味もなく冷静な批評家になる。おそらくこの習慣が今後急変することはないだろうが、たまにはお店に行って「いい買い物」をしてみたい。そこで今回は意図的に「いい買い物」をするにはどうしたら良いかを考え、それを実行してみることにした。以下、記録。
「いい買い物」とは
「いい買い物」とは何だろうかと改めて考えて、次のような条件で定義することにした。
- 買いたいものの専門店に行く
- 好みや予算などをプロフェッショナルな店員さんに伝えて、条件にあったものかそれ以上のものを紹介してもらう
- 実際に使ってみて、満足する
考えてみて思ったが、良い買い物だったかどうかは観賞用の工芸品とかでもないかぎり、実際に使ってみて初めて分かることではないかと思うので、件の武器屋の客は何をもって「いい買い物をした」と評価しているのか非常に気になるところである。受け取ったそばから試し斬りでもしているのだろうか。もしかしたら、あの世界の客は目が非常に肥えていて、価格に対して品質が十分であることを即座に判断できるということだろうか。だとしたらそれが理想的な関係かも知れない。
さて何を買うか
今欲しいものをいくつか考えてみた。クロノグラフ機能の付いた腕時計、ローラーブレード、通勤用のリュックサック…。腕時計は結構前からあちこち探しているのでまたの機会にということで、今回はローラーブレードを買うことに決めた。元々は会社の同僚から子供用のローラーブレードを頂いたのがきっかけで、これは一緒に始めてみるしかないだろう、という流れである。つまり経験は皆無、全くの初心者である。知識ゼロから専門家にあれこれ聞いた上で買い物をする、というのが今回の主旨に沿っているという理由もあった。
下調べ
とは言えまずどこに専門店があるのかなど、基本的なことは調べなくてはならない。まあその基本的な情報収集から冒険は始まっていると考えられなくもないのだが、さすがにそこまでする理由もないのでここは便利なインターネッツに頼ることにする。以下分かったこと。
- 価格は5000円くらいのものから数万円のものまで様々
- 専門店は神田小川町周辺に多い
ということで取りあえず予算を10000円前後と決めて、娘も連れて神田に行くことにした。秋葉原にはしょっちゅう行くのだが、小川町方面を歩くのは初めてだった。歩いてみるとスケートに限らず、スポーツ専門店が集中してることに気付いた。卸し問屋でもある(あった?)のだろうか。
1店目
ここでは結局買わなかったので店名を書くのは控える。店内はやや狭く、いかにもといった雰囲気のインラインスケート専門店で、割と上級者向けのお店のようだった。おそらくその筋の人では知らない人は居ないのだろう。まず一通り価格を見て思ったのは、「高い」。一番安いものでも一万円台後半くらいからだった。
さすがにネットの最安値5000円は無いにしても10000円出せばそこそこのものが買えると踏んでいたので結構ショックだった。店員さんと二言三言言葉を交わしたが話もあまり盛り上がらず。敷居の高さを感じてしまったので早々に退散することにした。
2店目
元々の主旨を考えると、大手のチェーン店ではなく1店目のようなこじんまりとした専門店で買いたかったのだが、インラインスケートだけの専門店となるとなかなか店舗はないようだ。仕方なく次に入ったのがヴィクトリア(本店)だったのだが、結論から言うとここが大当たりだった。
インラインスケートの売り場は一階。入ってすぐのところにいた若いお兄さんの店員さんが案内してくれたのだが、とにかくこのお兄さんの対応が素晴らしかった。
ネットで売られている格安品と、お店で売っているものの違いを丁寧に分かりやすく教えてくれた
一番大きいのはタイヤがスムーズに回るかどうかということだそうな。ちゃんとしたものは、多少地面が悪くてもよく転がるので「楽しい」とのこと。楽しいのは重要だ。
防具のつけ方も丁寧に教えてくれた
そういえば、頂いた防具を娘につけようとして、つけ方が分からなかかったものがあったのだが、そんなことをこちらから言うまでもなく、当然のようにつけ方を教えてくれた。初心者がつまづきやすいポイントを押さえているということだろう。嬉しい。
子供が練習のモチベーションを持続させるためのアドバイスをしてくれた
最初はうまく滑れないとすぐ飽きてしまうので、いやな気持ちにならないよう適度に練習して、適度に他の遊びをすることが大事といったことを教えてくれた。確かにそうだ。
娘の名前を一瞬で覚えて気さくに話しかけていた。
娘の名前、聞かれたわけでも教えたわけでもいないのに、私が呼んでいたのを聞いていたのだろう。こういう「見知らぬ人とのちょうどいい距離感での接し方」が上手な人は本当に尊敬する。(私は勝手に「二人称を自在に操る人」と定義してる) こういうことは自分には到底できない。さらには「シールあげるね」と言って販促品のステッカーシールを娘に渡していた。本当に抜かりない。
そんなこんなで完全にこのお兄さんに骨抜きにされ、もはや買わない選択肢はなかった。もともと「いい買い物」をするのが目的だったので、ここまででもはや目的は半分以上達成されたようなものだった。ここまでくれば何も買わずに帰ってもウィンドウショッピング的な意味では「いや、いい買い物をした」と言っていいと思う。最終的に13,796円のシューズと3,046円の防具を買って全部で16,842円+税。おまけで持ち運び用の専用ケースがついた。こういうおまけも「いい買い物」には大事な要素だ。
買ったものを専用ケースに入れてもらって渡されたところで「いや、いい買い物をした。ありがとう。また来るよ。」と、聞こえるかどうか分からないくらいの音量で言い残して店を出た。実際また来ると思う。(500円分ほどのポイントもついたので)
帰り道は重たいインラインスケートシューズを肩から下げ、眠くなってしまった、それより重たい娘を抱きかかえてへとへとになりながらお茶の水まで歩いた。
まとめ
お金を出してモノを買って、お金を出している方が「ありがとう」といえるというのはなかなかないことだ。しかし本来はそれが消費行動のあるべき姿なのではないかと思う。最近は特にお金を出して目に見えない対価を受け取るという機会も増えているので、いろいろなモノの価値を正確に判断できなくなっている気がする。いいものや悪いものを目で見て、触れて、冷静に価値を判断した上で「いい買い物」をした気になることこそが、豊かになるということなのではないかなと思った。いい買い物で買ったものは、ことさらに大事に使っていきたい所存である。
新庄耕「狭小邸宅」読了
ずいぶん前に買ったのだが、前半の暴力表現がきつくて投げ出してしまっていたのをようやく最後まで読んだ。半分超えたら一気に読めてしまった。
色んなことを思わされる。ブラック企業、理想の上司、働く意味、狭小邸宅…。
どうも自分には飲食店以外のブラック企業というものに具体的なイメージがないのだけど、世間のブラック企業というのもこんな感じなんだろうか。
だとしたらやっぱりまずはいかに「辞めること」当然のことにできるかというのがカギになってくるんだろうなあ。
まあ小説の主題はそこではなく、主人公がブラック不動産営業を続ける中で人格が壊れていって120%企業戦士になっていく様が不気味にリアルに淡々と描かれている。
全然どうでもいいんだけど最後の濡れ場で出てきた「肉をぶつける」っていう表現がどうも生肉を投げ合ってるみたいなシーンを想像してしまっておかしかった。
アフィ何とかとか設定してないけど取りあえずリンクだけ。
こども食堂が増えているらしい。
「こども食堂」の混乱、誤解、戸惑いを整理し、今後の展望を開く(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース
URL引用の練習も兼ねて。
今にわかに注目を集めている「こども食堂」について湯浅誠氏が分かりやすく分類している。
行政が補助金を出すことで、新規参入が増え、言葉の定義に対する混乱が生じているというのは大事な指摘である。
言葉の定義を早めに整理しようとするのが有意であることは、「こじらせ女子」の一件を見ても明らかだ。
自分は無料塾のボランティアもやっているが、無料塾もまた行政が後からノウハウを掠め取りに来る活動の一つだ。
ただ、こういった社会活動を評価する一つの指標としても「行政がマネをする」「補助金を出す」というのは非常に大きい。
やはり大事なのは、記事にもあるように、行政の側には援助する対象や目的を明確にして、適切な働きかけを行なってもらうことではないかと思う。